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地方での働き方は?三豊市のアパレルメーカー、オギタヘムトの縫製技術を支える岡村勝美さん(中編)

香川県三豊市でのさまざまな企業の働き方を紹介する本企画。今回ご紹介するのは、アパレルメーカー、オギタヘムトです。

同社は、1959年創業。さまざまな衣類品の製造・販売を手掛けてきました。近年は、今治タオル生地をつかった自社独自ブランド「三豊肌衣」を立ち上げています。

今回は、全3回でオギタヘムトで働く方たちをクローズアップ。その想いを紹介していきます。

※本記事は2021年8月31日に旧・週刊みとよ ほんまモンRadio!(Seesaaブログ)で紹介した記事を再編集したものです。

前編では、経理などを手掛ける執行役員の徳永保さんを紹介しました。

https://mitoyo-city.note.jp/n/ncc45c300aa78


第2回目に紹介するのは、オギタヘムト製品の縫製を中心的に担っている荻田縫製研究所の工場長、岡村勝美さんです。

オギタヘムトでは、2011年、国内工場の拠点として、一度閉鎖した工場を再開しました。その際、縫製工場の技術的リーダーとして工場長の現場を任されたのが、岡村さんです。

岡村勝美さん

シャツを作る難しさ

ー工場の再稼働から10年、シャツ作りに向き合ってみていかがですか?

岡村さん:工場再開から10年になりました。その間、スタッフが入れ替わることもあり、大変な時もありました。

私は、香川に来る前に、機械、建築、林業、土木など、いろいろな現場、物作りに関わってきました。

縫製に関しても30年の経験がありますが、衣類を作るのは技術系の仕事の中でも、一番難しい仕事だと感じています。少しずれただけで、全く違うものになってしまうので、高い技術が必要なんですね。

ですのでスタッフの適性を慎重に見て、それぞれの技術力を高めながら一緒に働いていけるように、取り組んでいますね。

ー今、縫製に関わっているスタッフは何人いますか?

岡村さん:縫製工場には37人います。そのうち、10名はベトナムからの技能実習生です。実習生たちは、3年の任期の後、試験に合格すると2年延長になるので、技術習得へ前向きな人も多く、とても優秀です。

他にも、地元の服飾科を卒業して入社してくれた人も数人いて、そのうち2名は今も続けてくれています。

ー1枚のシャツを作るのは、どれくらい時間がかかりますか?

岡村さん:1着のシャツを作るのにだいたい5,000秒くらいかかると言われています。2時間弱くらいでしょうか。この作業を、さらに一つ一つの行程にばらして分業しているので、実際はもう少し短い時間で完成しますが・・・。それでも1人当たり1日作れるシャツの枚数は、5枚くらいになります。

シャツだけを作ることに特化すれば、1日1人8枚くらいまで生産量をあげることはできますオギタヘムトでは、シャツでもいろいろなデザインのものを作りますし、それ以外にもジャケットなどの生産にも取り組んでいますので、シャツだけで見ても、だいたい1日1人5枚が最大となります。

ー何気なく着ているシャツですが、シャツを1枚作るということが、本当に難しいお仕事なのだなということがわかりました。

その中でも、自社ブランドである「三豊肌衣」の生地は特別難しいのですよね?

岡村さん:三豊肌衣は、今治タオルの生地をシャツとして羽織れるように特別に作ってもらっている生地になります。タオル地っぽさも残っているので、素材を扱うのがとても難しいのです。

繊細なので、作業も手袋をつけた手で扱ってもらっていますので暑いですし、本当に苦労しながら1枚ずつ作ってくれています。

手袋をしてミシンを扱います。暑いし大変な作業です。

ーそんな苦労を重ねて作られているシャツだということがわかり、これからシャツをもっと大事にしようと思いました!!!

クラウドファンディングにも挑戦

ーさて、「三豊肌衣」が始まって、5年くらいたち、販売や新しい取り組みも始まっていると聞いていますが、お聞かせください。

岡村さん:今年は、『三豊肌衣』用のタオル生地を、徳島県の藍で染め、藍色のグラデーションデザインのシャツを作りました。これはクラウドファンディングで告知し、手ごたえがありました。

さらに、四国内にある素材と連携して、四国にある素材とコラボレーションした商品を形にし、PRしていきたいと取り組んでいます。

藍染で染めたグラデーションシャツ

ー香川の縫製技術、愛媛の今治タオル生地、徳島の藍染、高知の和紙や自然素材などを合わせて、四国発信の商品がまもなく完成しそうということですね!こちらでご紹介できるのを楽しみにしています。

1人前になるまで約3年

ーさて、縫製技術を習得していくことは大変と伺いましたが、これからの荻田縫製研究所での仕事に興味があるという方にアドバイスをお願いします。

岡村さん:縫製に興味があれば、適性を見ながら、いろいろな技術を伝えることができます。3年くらいで一人前の仕事ができるようになってくれたら嬉しいですね。

でも、本当に覚えることも多いので、教えてもらったことだけをやるという姿勢では、難しいかもしれません。自分でもいろんな勉強をして、工場の中でもトップになるくらいの気持ちを持ってくれてもいいのかなと思います。

さらに、これからの時代、若い感性がもっと求められると思っています。なので、どんどん意見を出して、チャレンジしてほしいです! そんな中から、自分でデザインした服を、自分で形にできるチャンスが生まれてくるかもしれません!

ーありがとうございます!縫製技術は一度身に着けたら、一生自分の財産になりそうですね!

また、オギタヘムトに入社すれば、新しいチャレンジにも前向きな環境で、三豊発の「三豊肌衣」のさらなる発展に関わっていくことができそうと思いました!

株式会社オギタヘムト

住所:三豊市豊中町笠田笠岡2303-1電話:0875-62-6290
公式ホームページ:https://www.ogita-hemd.com/index.html
三豊肌衣オンラインショップ:https://hadae.jp/
公式FBページ:https://www.facebook.com/hadae.official

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