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洞窟の中の壁画とクジラ:粟島芸術家村【三豊市粟島アートスポット③】

瀬戸内国際芸術祭2022がいよいよ開幕!
実は、三豊市の粟島には会期外でも楽しめる作品がいくつかあるんです。
本日ご紹介するのは、「粟島芸術家村」にある、2019年の瀬戸内国際芸術祭秋会期に公開されたマユールさんと大小島真木さんの作品、「言葉としての洞窟壁画と、鯨が酸素に生まれ変わる物語」です。

※この記事は2019年制作当時の記事を再編集したものです。

粟島芸術家村とは

粟島芸術家村は、港から徒歩5分の位置にある、旧粟島中学校を利用した施設です。2010年からアーティストインレジデンスを実施しており、島民の方とアーティストが協力しながら作品制作・展示をしています。

2022年4月現在は、瀬戸内国際芸術祭2019で作品を発表した「大小島真木」さん、インド人アーティスト「マユール・ワイェダ」さんの作品が展示されているほか、善通寺第一高校デザイン科の生徒たちが制作した作品も新しく展示されています。
瀬戸内国際芸術祭2022秋会期には、このほかにも新しく作品が発表される予定です!

「言葉としての洞窟壁画と、クジラが酸素に生まれ変わる物語」

この作品は2018年の夏、そして、2019年春~夏と、三豊市粟島でアーティストインレジデンスに参加した、アーティストの大小島真木さんと、マユールワイェダさん3兄弟の共同制作作品です。

まず、元々中学校の体育館だった少し大きめの部屋を、洞窟のような空間に仕立てあげ、そこにマユールさん3兄弟が壁画を描きました。インドの少数民族に代々引き継がれる「ワルリ画」という伝統的な壁画です。

緻密な白色の線によって描かれるワルリ画は、全ての線に意味を持つと言われており、白の微妙な濃淡まで細かく指定されています。

始まりは、洞窟の中、人類の誕生から。この洞窟に入ることで私たちも人類の誕生や、文化や生活を追体験することができます。

生き生きとした動物の姿や、狩猟や農耕、祈りと共にある人々の豊かな営みが細やかに美しく描き出されています。

この壁画の物語の行き着く先には、大小島真木さんと島民のお母さんたちが一緒に作った刺繍作品が。その豊かな色彩感覚と、緻密で繊細な手仕事に圧倒されることでしょう。

洞窟の空間の真ん中には、大小島真木さんのクジラシリーズの最終地点である、大きなクジラの骨が吊り下げられています。

骨には鯨の一部となったプランクトンが描かれ、その中央には美しい心臓が。島民の方達の海の刺繍を組み合わせてこの心臓が出来上がっているそうです。

生き物は土から生まれ、土へと還っていく。
ぐるりと洞窟を見終わった後は、壮大な物語を見終わったような、じんわりとした感動に包まれます。

これまで、アーティストインレジデンスに参加した作家さんの作品は撤去されることが多かったのですが、この洞窟壁画は、島民のお父さんお母さんの熱意によって保存され、定期的な補修を重ねながら守られています。

ぜひ、この壮大で美しい作品と、優しく温かい島のお父さんお母さんに会いに、粟島芸術家村を訪れてみてくださいね。

開館情報

【概要】
開館日時:毎週土曜日 13:00~16:00
住所:香川県三豊市三豊市詫間町粟島1311-1
   須田港から粟島汽船にて15分。粟島港から徒歩5分で行けます。
入館料:無料


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