届け先のわからない手紙を受け付ける漂流郵便局【三豊市粟島アートスポット①】
瀬戸内国際芸術祭2022がいよいよ開幕!
実は、三豊市の粟島には会期外でも楽しめる作品がいくつかあるんです。
本日ご紹介するのは、テレビドラマでも取り上げられ話題となった「漂流郵便局」です。
漂流郵便局とは
「漂流郵便局」は、2013年の瀬戸内国際芸術祭で制作された現代アート作品。アーティストの久保田沙耶さんが、旧粟島郵便局を作品としてよみがえらせたものです。
久保田さんが滞在制作で粟島を訪れた時、たくさんの漂着物が海に流れ着いているのを見て、かなり驚いたそう。調査すると、潮の流れが関係していることがわかりました。
その後、島の中心部にある旧粟島郵便局のガラスに映る自分の姿を見て、「まるで自分もここに流れ着いた」と感じたそう。たくさんの方に同じような感覚を体感してほしい、という思いで、漂流郵便局の制作がスタートしました。
コンセプトは以下の通り。
がんで急逝した夫、天国に行ってしまった母や子ども。祖父母の愛犬。過去の自分や未来の自分……会いたくても会えない。そんな人やモノに向けてつづられた、海を漂う瓶入りの手紙のような想いを預かってくれる場所です。
局内には、これまでに届いた多くの手紙が展示されており、来館者は、それらの手紙を一つ一つ、読むことができます。
中には思わずうるうるしてしまうものも。ハンカチやティッシュを持参することをお勧めします。
本来であれば、瀬戸内国際芸術祭2013が終幕する際に、撤去される予定だった作品ですが、館長を務める中田さんが「この場所は残しておかねばならない」と判断し、それ以降ボランティアでこの場所を守ってくださっています。
建物を清潔に保ち、日々送られてくる手紙に必ず目を通すという中田館長。
2020年時点で、世界中から送られてくる手紙は4万通を超えました。
たくさんの方の思いが詰まったこの場所は、神聖な空気感があり、まるで聖堂のような美しい場所になっています。
漂流郵便局への手紙の出し方
手紙は、ハガキでも、便箋でも構いません。
差出人の住所は不要なので、個人情報の心配もありません。
今は会えないあの人に伝えきれなかった思いを文字にしたため、漂流郵便局へ「郵送する」という行為により、その思いは昇華され、成仏してくれるような気がします。
2度の書籍化
漂流郵便局に送られた手紙を集めた書籍が2冊出版されています。
胸に染みる、たくさんの方の思いが詰まった書籍。泣けます。
開館情報
【概要】
開局日時:第2、第4土曜日 13:00~16:00
住所:香川県三豊市詫間町粟島1317‐2
須田港から粟島汽船にて15分。粟島港から徒歩5分で行けます。
入館料:無料
※2022年4月12日現在開館しています。
※新型コロナウイルスの感染状況により変更の可能性があります。