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定年後、三豊で洋菓子カフェ「グルマンディーズ」をオープン!齊藤洋三さん(前編)

香川県の三豊市豊中町に2017年2月オープンした「洋菓子・焙煎珈琲 グルマンディーズ」。そのご主人である齊藤洋三さんが定年後、フランス人の娘婿ジェロム・ルップさんなどとともに、カフェを立ち上げた経緯を照会します。

※本記事は2021年4月19日に旧・週刊みとよ ほんまモンRadio!(Seesaaブログ)で紹介した情報を再編集したものです。

「食いしん坊のおやつ」グルマンディーズ

「グルマンディーズ」とは、フランス語で「食いしん坊のおやつ」という意味。

入り口では、店内を想像してわくわくさせてくれるかわいい看板が「ウエルカム!」と出迎えてくれます♪

さあ、食いしん坊のおやつをいただきに、お邪魔します♪

オーナーの齊藤洋三さんが出迎えてくれます。今日はおしゃべりしたいので、カウンター前の席を陣取り、私だけの珈琲をオーダー。

いつ来ても、1杯ずつ、丁寧に珈琲を淹れてくれる姿はぶれることはなく、優しい雰囲気にもかかわらず、珈琲を淹れていただいている間は、声をかけることができません。

淹れたての珈琲を前に、齊藤さんのお話を伺います。

筆者は、何度もこの席に座りながら、ゆっくりお話をしながら楽しい時間を過ごさせてもらいました。齊藤さんの優しい雰囲気、つい、いろいろおしゃべりしたくなります。

「農家にならない!」と思っていた子ども時代

齊藤:定年で香川県に戻る前は、全国に拠点がある建設コンサルタントの技術者をしていました。当時は、『斎藤が歩いた後には何一つ落ちてない』と言われるほど、仕事には厳しく向き合っていましたね。

なので、会社員時代の同僚がグルマンディーズに来ると、会社人時代とはちがう私の柔らかい雰囲気にびっくりしてますよ。

ーそうなんですね!今の優しい雰囲気の斎藤さんに、美味しい珈琲を淹れてもらえる香川県にいてよかったです!

齊藤さんのこれまでについてお聞かせください。

齊藤:三豊市豊中町の桑山という地区で育ちました。七宝山のふもとの、細い路地の込み入った集落の一角で、家の周りは田んぼや畑がたくさんでしたね。

地名の通り、周りは桑畑が広がっていて、私の実家でも蚕を飼っていました。5月になると桑の葉を切ってきて、その葉を蚕にあげて、夏前に隣町の観音寺にあった綿屋に出荷していました。

そして、60年くらい前かな、地域にブドウ作りの技術が入ってきて、ブドウ農家が増えていきました。今も、育った家の周りにはブドウ畑がたくさんあります。

そんな環境で育ったからですかね。農家にはならないと思っていました!

豊中町笠岡地区を見下ろす風景

齊藤:高校進学の時は、本当は工業高校に行きたかったんですよ。工作が好きだったので、大工さんになりたかったんですね。

でも、高校は普通科に進学し、大学で改めて土木工学のことを学べる所を選択しました。

大学生活の6年間は、鳥取の雪の積もる街で暮らしました。それまで温暖な瀬戸内海で育ったので、雪と共に生活していくことがこんなに大変なのかと、衝撃でしたね。アパートの2階の高さまで雪が積もったり、学校へ通うバスが止まったりする経験をしました。

日本国内にいろんな生活スタイルがあることや、雪深い地域で暮らすことの厳しさを知りましたね。

ー多感な学生時代にもいろいろな経験をされてきたんですね。

建設コンサルタントとしての会社員時代

ーさて、厳しかったという会社員時代は、どのようなお仕事をされていたのですか?

齊藤:全国に拠点のある建設コンサルタントの技術職として、橋梁の設計や道路計画に関する業務に広く関わっていました。入社した当時は、どんどん大きなものを作る時代だったので、大きな建設にも関わらせてもらいました。

三豊市財田町出身の偉人、大久保諶之丞のことは子どものころから知っていましたから、彼の提唱した瀬戸大橋を作ることに憧れる気持ちもありました。ちょうど瀬戸大橋建設の時代に重なり、実際に橋の建設にも関わることができたことは感慨深い思いです。

2000年を過ぎたころから、世界的に環境問題への意識が高まってきたために、それまでの発展的な考えとは逆の、環境に配慮した視点を持って建設に向き合うようになりました。

日本の技術者たちは優秀なので、環境への取り組みや技術も世界的に見ても高いものを作っていっています。そういった技術を活かして、地域の課題を解決することや、環境を改善させながら事業性を保つために、いろんなチャレンジがありました。四国の間伐材問題の解決について取り組んだこともありました。

香川に帰ってカフェを

ー環境への取り組みについては、また別の機会に詳しくお聞きしたいです!

さて、今、香川暮らしをされているわけですが、どのタイミングで、香川へ戻ろうと考え始めたのですか?

齊藤:2010年頃ですね、ちょうど55歳ころに、これからのことを考え始めました。技術職として65歳まで延長して勤務してほしいという会社からの要望もいただきましたが、これまでとは違う新しいことに取り組みたい気持ちもあったので、定年の60歳で辞めて、次のことをすると決めました。

妻の実家も三豊だったので、義父母のことも考えました。私自身、父を亡くしたときは大阪にいたので死に目には会えませんでした。そんな経験からも、家族と話し合い、実家の三豊市へ戻ろうということを決めました。

そしてちょうど同時期に、神戸でパティシエをしていた娘も、私たちの実家でもあり、祖父母の家のある三豊に帰ろうかという話が出てきました。その話の流れで、フランス人の彼氏がいることも紹介されました。

ーこうして、現在の娘婿であるジェロム・ルップさんと出会い、齊藤さんご夫妻、娘さん、そして娘婿となるルップさんと4人で、香川へ帰るための話し合いが始まったと聞いています。

齊藤:娘とルップさんは、私たちよりも1年早く、2015年3月に三豊へ移住しました。娘はケーキ屋をやりたいとしっかり決めていました。そこで『お父さんは珈琲をやってくれない?』と言われたんですね。

実は若いころから、趣味として家で珈琲を淹れていたのですが、娘はその姿を見ていたようで、私の三豊での役割が決まりました。

妻は大阪で飲食系のパートをしていたので接客、娘はケーキ屋、私は珈琲と、それぞれが好きな形でかかわりながら、ケーキ屋、そしてカフェを始めていく話が、自然に生まれていったような感じでした。

こうして、三豊市豊中町の「グルマンディーズ」が誕生するお話が進んでいったのですね。同時期に三豊へのUターン&Iターンを決めた4人がそれぞれ適役にはまっていて、そして、流れるような展開、ドラマを見ているようなお話でした!!!


「洋菓子・焙煎珈琲 グルマンディーズ」の情報

住所:三豊市豊中町笠田笠岡町1631-5
電話:0875-24-8518
定休日:月曜日・火曜日
営業時間:水・木・金曜 午前9時~午後6時
     土・日・祝日 午前8時~午後6時

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